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2019年7月

2019年7月 6日 (土)

ヤフオク 欧州管2題

店舗移転に4ヶ月を要したために何もかもがおざなりになってしまいました。未だ40台/日となるコンピューターアクセスの方に対する記事を追加する必要があると思いここに再開することにします。とはいえ、そう多くの面白い話はありません。

 

ヤフオクをみていたら、EU Valveが面白い真空管を二点出品していました。EU Valveは以前色々とお世話になり又、欧州管情報を最も持っていた方でもありました。このところは情報不足となってしまいましたが、営業事態を縮小ないしは停止したようですので、致し方ないことと思います。

その出品は今回二点ですが、ひとつはBTH B-12、もうひとつはKlangfilm KL-71403という真空管です。

BTH B-12 https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s671296777  

それによりますとB-12はフィラメント電圧7.5V(1.25A)、プレート電圧425V(Max)、増幅率ミューは2.9となっています。(GM1.0ma/volt、Rp2.8kΩ) 1927年頃の製品でEdiswan Mazda PP3/425の前身とされます。

Mazda のPP3/425はUV-202/UX210と比肩されるもので、同等または相当管にMullard DO20があります。DO20もフィラメント電圧7.5V(1.3A)、プレート電圧425(max)、増幅率μは5,GM2.5ma/voltで内部抵抗が2kΩです。

動作例

PP3/425 Ep 425V Eg-100V Ip ca.27ma Dp 12W   Rp2.8KΩ GM1.0ma/volt μ2.9

DO20 Ep425V Eg-66V Ip40ma    Rp2KΩ GM2.5ma/volt μ5

UX-210 Ep425V Eg-39V Ip18ma    Rp5KΩ GM1.6ma/volt μ8

PP3/425を今まで4-5本入手し検査したところ、Eg-100VではIp30ma近くになるものはなく、概略20maがよいところでした。これは劣化したためと思いますが、サンプル数が少なすぎて結論が出ません。ただEg-60~70Vとなると30ma近くまでいきました。DO20の実測は更に少ないサンプル数でしたが、まあ動作例に近いものでした。

データーや実測データーからするとPP3/425やDO20がUX210相当管になるのでしょうか。UX250とUX210との間に位置するようにも思えます。今回はこれが主題ではないので、この件は機会があったときに再度調べましょう。

今回の主題はBTH B-12とTHB-12との関連です。

THB-12はフランスMazdaの前身であるMetal社のパワー管です。Mazda GW-302を入手した時に、フランスの方からTHB-12同等ということと、THB-12はBTH B-12ということを聴かされていました。

今回のヤフオクにBTH B-12とPP3/425との関連が記載されていました。ただ、今までの知識から、前身や後身が同じものを意味しないことを知っています。PX-4のあれだけあった変遷がB-12には適応されないとはいえないのです。まして、英国と仏国で同じ規格が続いたとしては危険でしょう。それでも大きなサジェッションをもらいました。仏MAZDA GW-302は型番から Ef7.5V Rp2kΩ前後(1.5-2.5K) そしてミュー 約3ですので、PP3/425と同じです。その一方同Mazda社にはUX210同等規格管であるCL1257がありました。タングステンフィラメントですが、Metal時代です。電極はCL1257とB-12及びPP3/425最初期とよく似ています。GW302とTHB-12とは別物でした。

THB-12とGW302の実測ではほぼDO20のカタログデーターでした。面白い結果ですが、いずれももう入手不能なようです。(皆さん返還してくれないかな、くれないだろうな)

TH社についてですが、The Thomson-Houston Electric Company については下記参照。

https://en.wikipedia.org/wiki/Thomson-Houston_Electric_Company

それには米国GEとの関連と共に、英国TH社(BTH)と仏国TH社(CFTH)の記載があります。全て同根であったわけでその後BTHはEdiswan MazdaにTHCFはMetal Mazdaになっていったようです。

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上画像がヤフオクに出品されたBTH B-12です。

 

次はKL71403です。

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/l532908249

ヤフオクでは上記のページになります。

出品されたKL71403は最後のナス管とされています。またTEKADEのロゴの入ったTELEFUNKEN製とされました。

実際の製造がどこかは私にはわかりません。KL71403の基となるのはRE604ですが、そのRE604にこのようなナス型があったのは面白いことです。

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見てお分かりのように、電極はST管と全く同じです。カーボン強焼付プレート、六角プレート、フィラメント3本吊、寸法出し用ガラス棒、ステム形状やゲッター台はTELEFUNKENのあるものと同じです。ST管のRE604はTELEFUNKENとTEKADE製しか知りませんので、万が一それ以外の製造会社があった場合は推論は根底から崩れます。

唯一の違いは、ガラス形状です。この点において、出品者は少々疑義をもっているようです。電極はTELEFUNKENと同じ。でもTEKADEでも同じです。同様のものがありました。

ここに、同形状のガラスを持つTEKADE RGN2004やKL75301があります。画像は後日アップ

貴重な情報を頂きましたので、公開します。

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1)BTH B-12 と GE 842 そして THB-12

B-12の記事興味深く拝見しました。
私の所に1929年にEdiswanが発行したテータマニュアルがあります。
このマニュアルには1928年シリーズとして吸収合併前のBTH、Ediswan、Metro-Vickの球のデータが載っています。
残念ながらB-12に繋がるデータを見つけることはできませんでした。
もちろんPP3/425は載っていますが徳田様が掲載したものとは微妙に異なっています。
Ef7.5V  If1.25A  EpMax425V  Po3W
μ2.85  Rp2900Ω  Gm0.98mA/V
動作例は記載されていませんがEgIp特性表が載っています。
特性表を読み解くとEp425V、Eg-100V時のIpは27~28mAくらいです。

 

面白いのはこれからです。
著名なコクターサイトRadiomuseum.orgによるとBTHのB-12は1927年に登場したようです。
そして1927年は842という球がアメリカで発表された年でもあります。
(なお、同年にはハイμバージョンの841も登場しています。)
B-12は持っていませんが私の手元にはナス型でモリブデンプレートの842が1本だけあります。
842の規格をRCAのHBⅢから以下に抜粋します。
Ef7.5V  If1.25A  EpMax425V  Pd12W
Ep425V  Eg-100V  Ip28mA
Gm1.2mA/V  Rp2500Ω  μ3
RL8000Ω  Po3W
これほど似た球が別々に開発されたとは考えにくくGEが開発してBTHがコピーしたと考えるのが自然な流れではないでしょうか。

以上の情報より殆ど結輪が導かれるのです。米国GE、英国BTH、仏国CFTHは同一資本に属する多国籍企業です。その3社が同一の真空管を生産し、
WWI後1920年終わりにはEdiswan Mazda PP3/425とMetal GW302となったということです。
UV202/UX210よりも強力なパワー管ということになります。英国・仏国では材質・電極構造が改良されて少しでも生産されたのですが、米国では
何故か842は生産を早期に中止となったようです。残存数が余りにも少なく、とにかく何でも沢山あるアメリカの状況からして少量しかみること
ができないことは生産数と年数が限定されていたことを意味します。

2)RE604 TELEFUNKENとTEKADE



ブログに掲載したタイプのRE604(KL71403)の存在は
数年前から知っていました。(Ebayにて確認)

 

前からテレフンケンとTeKaDeの関係について興味を持っていたの
で調べてみると面白い事実が分かったので自分なりに考察してみま
した。

 

Radiomuseum.orgによるとTeKaDeはテレフンケンと契約を結び
1931年9月から自社向けの受信管の製造を全停止して専らテレ
フンケン向けに製造しそれは1939年まで続いたとあります。
この頃は真空管の需要が爆発的に増加した時期ですが、独自規格の
真空管に固執しすぎて時代の流れに乗り切れていなかったTeKaDe
にとっては渡りに船であったと思われます。

 

初期のTeKaDeが製造した真空管の状況を考えるとバリウム昇華型
フィラメントの球は製造していなかったと思われ、1931年9月
の契約以降はテレフンケンの製造ラインでは主にバリウム昇華型の
球をTeKaDeの製造ラインでは酸化被膜の球を製造したと考えるの
は自然な流れと思います。
第二次世界大戦に突入し自社ブランドで軍用球の製造をするにとも
ないこの契約は解消したと思われますがそれ以降も一部管種につい
てはテレフンケンとの関係が続いていたのではと想像しています。

 

1936年にAD1が登場して以降次第に主役はRE604からAD1へと
移行しテレフンケンの工場でのRE604の製造が難しくなったのに伴
いTeKaDeの工場でRE604を製造したとしても不思議なことではあ
りません。
なお、私が確認しているナス型バリウム昇華型フィラメントの一番
新しいものは1941年製です。
また、酸化被膜タイプで最も古いものは1942年製です。
TeKaDeの工場ではバリウム昇華型真空管の製造ラインが無かった
と思われますからRE604そのものを酸化被膜タイプに焼き直すのが
自然な成り行きでしょう。

 

私見では、今回EuValveさん出品のKL71403はテレフンケンから製
造を引き継いだ直後の製品であり直ぐにSTタイプへと移行したと
睨んでいます。
引き継ぎ直後は生産が安定していなかった可能性が高く、ST型バ
リウム昇華型フィラメントのRE604はテレフンケン社のAD1の製造
ラインで不足を補うためにスポット的に製造したと考えれば辻褄が
合うように思います。

 

あくまでも私の推論にすぎませんが結構良い線を行っているのでは
ないかと自賛しています。

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貴重な情報を頂きましたので、公開します。
以上が投稿いただいた全文です。

ナス型最終形のRE604の設計がどこで行われたかは分かりません。TEKADE側とする根拠は推測です。その証拠がありません。TELEFUNKENとするとないわけではないのです。
RE345というテレフンケン製UX45の画像を載せていますが、そのプレート形状はTEKADE RE604STと同じです。全てのサンプルが多くあれば分解してしまうのですが、それは現在では不可能です。
外見判断するということになります。
今までの情報をもとに、皆さんが独自に推論してみるのも楽しいと思います。
私は、このナス型最終形RE604はTELEFUNKEN設計、製造TEKADEと思っています。そして、酸化被膜型フィラメントST管はすべて製造はTEKADEではないかとも思います。
バリウム昇華型フィラメントST管RE604の残存数からしてスポット生産ということは納得できます。ただ、そのプレートに何を流用したかです。TFK新型ナス型をそのまま流用したのか、RS241を使用したのか。
実物を解体すればすぐわかるのですが、不良品がありません。いつか機会があれば、すべてが了解されるでしょう。
それまで、夢を見ることとしましょう。夢は現実の証拠によって覚まされるのです。




 

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