フランスMAZDA DW601/601の規格
フランスMAZDA DW601/601の規格が少し判明しました。
また、フランスMAZDAの型番の意味がほぼ全てわかりました。
以前例えばDW601を見てみましょう。
DはEf 4V Wは増幅管 W,X,Y,Zも同じ、6はμ、1は内部抵抗となっています。つまり下記の特性値にあるRp900Ωを指します。これがDW302ですとμ約3、Rp約1500Ωとなるわけです。
DW601/601
以下の規格はMAZDA DW601(内601) 元箱に記載されていた
Ef4V If1A
Epmax 250V -Egmax 34V Rp 900Ω μ 5.4 GM 6mA/V
Ep 250V Eg -34V Ip 50maが基準となります。出力は最大3.5Wです。
この時のプレート負荷抵抗がわかりませんが、これは実験をすることにしましょう。
こうしてみると、2A3並の出力管です。D404/RE604程度ではありません。そういえば、ソ連YO104もこの規格にとても近かったので、D404/RE604の規格向上とAD1への開発の間を埋めるものだったのでしょう。
PX4
1929年のOsramValvsから抜粋
Ef4V If0.6A
μ3.8 Rp1450Ω GM2.6mA/V Pd10W Epmax 200V
動作例 Ep200V Eg-30V Ip40ma
1931年のOsramWirelessGuideから抜粋
Ef4V If1A
μ5 Rp830Ω GM6.0mA/V Pd12W Epmax 250V
動作例 Ep200V Eg-26V Ip40ma Ep250V Eg-34V Ip48ma Rl3kΩ Po2.5W
改めて見ますと、DW601/601はPX4と全く同一規格ということがわかります。また、PX4はEpmax300Vとなりますが、それに対応してかFOTOS F5もほぼ同一規格になっていきました。
このことを考えるとMAZDA DW601もきっとEpmax300Vになっていったと思います。やがてはその規格表を入手できる時が来るでしょう。
RE604
1928年のTELEFUNKENカタログより
Ef3.8-4V If0.65A
μ3.5 Rp1000Ω GM3.5mA/V Pd12W Epmax 200V
動作例 Ep200V Eg-25V Ip50ma
Ef4V If0.65A
μ RpΩ GMmA/V Pd10W Epmax 250V
動作例 Ep250V Eg-45V Ip40ma
こう見ていきますと、1920-30年代に翔けて直熱三極真空管の開発・整備が終局に向かって行くのが良くわかります。
オランダ・ドイツとイギリス・フランスが実は二大派閥であったこともここに至れば明確にされます。PHILIPS D404/VALVO LK460とTELEFUNKEN RE604が規格向上させても、AD1の開発に画期をかけD404/LK460・RE604とAD1が並存していきました。
それに対し、イギリスとフランスはPX4のように規格向上をひたすら続け、結局は他のメーカーもPX4に収斂させる方向を選択していきました。
アメリカは45が45Aというプレート電圧向上させ出力アップながらも一般化されず結局は2A3 との並存になっていきました。つまりドイツ・オランダ派ということです。
面白いことにPHILIPSグループであるMullardとDario(RT)とは別の道を選んだのです。Mullard AC044はPX4化しましたが、Dario はAD1を選択したのです。この道は、E406Nの詳細な情報が入手できればハッキリするでしょう。何故オランダ・ドイツとイギリス・フランスが二大派閥であったのか、夢想することは楽しいでしょう。オーディオもロマンで夢想ですが、妄想でも捏造でもありませんので、事実によって変更を余儀なくされてしまうのです。
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