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2015年3月 2日 (月)

フランスの真空管 MAZDA その1

フランスMAZDAの真空管には、いくつかの謎があります。どんなメーカーも謎があるのですが、仏MAZDAは資料が少ないために、謎が解明されていませんでした。さて、どんな謎でしょうか。

1.型番は何をもとにつくられたのか。PHILIPSの型番が意味するものは多くの人がご存じのとおりです。例えば、E406という出力管があります。New TypeはE406Nとなりますが、この場合はプレート電圧を250Vから500Vに上がっています。
E406の4はフィラメント電圧4V を意味し、06はμが6であることを指しています。Eはフィラメント電流のある範囲(0.7~1.25A)を示します。

MAZDAの出力管であるDW802は似たような表記のようです。Dはフィラメント4V、Wは増幅管、8はμを表します。但し、これは三極管だけのようです。五極管は、ただ数字を与えただけのようです。X、Yも同じですが、W,X,Y,Z等の表記はフィラメント電流を表していると思いますが、まだ確証がありません。02、これは残念ながら不明です。本稿は判明したものだけを基につくりあげています。

DWシリーズには三極管、五極管、直熱出力管、傍熱電圧増幅管等がありました。一桁番号は五極管、三桁・四桁は三極管として区分けをしていたようですが4ケタになった理由はμを10以上あるものがあるためです。DX、DYシリーズも同じようにみえます。

2.真空管規格および同等管・相当管・類似管

現在規格が判明して出力管は次の管です。

DW302、DW702、DW802、DX502、DY604 等々です。一方判然としないものは、DW601,601 等々です。TM100(3X75B)はMC1-60と同等であるとまずは思うことにしましょう。

そこで、幾つかの疑問が生じました。DW302が何故C405同等管になったのか。全く規格が違うことが分かっているにもかかわらずです。同じことは、DW802にもいえます。更に、DW601と601に対しては、不明な件が多いのです。一般的にDW601=E406N、601=D404=RE604とされます。WWII後E406N=D404として使用・表記しましたので、DW601=601=RE604ということになります。しかし、これは結論を急ぎすぎて、短絡的結論と言わざるを得ません。

当時の考え方は、E406NをD404として使用できる。このことだけです。D404をE406Nに使用できるということではありません。また、これらの使用法は固定バイアスではなくセルフ・バイアスでの使用法は言うまでもないことです。

問題を解決するには、常に時間軸を忘れないことが必要です。時間軸としては、WWII前、WWII中、WWII後の時間帯をきちんと区別することが大事です。戦中後期より戦後には、物資不足によって、使えればよい、長寿命を求めないということが要求されたと考えるべきです。それほど、不足していたことは、当舎のサンプル在庫も物語っています。それにしても、上記の件は不思議です。

不思議な同等管 DW302=C405、DW802=E408N についてはさらに続きます。このイコールはあくまでも、C405側から見たDW302であり、またDW802側からみたE408Nであるのです。逆は真ならずであることが、夫々の規格表が語っています。DW302のアンプにC405を用いると、暫くは使用できますが、C405の限界を超えた使用法で燃え尽きてしまいます。DW802をE408Nのアンプに使用、どれだけ使用できるかやってみた方にお聞きしたいのです。

DW802 標準規格 Ef 4V,If 0.57A Ep 250V Eg -25V Ip 26ma, Rp 2000Ω gm 4ma/v μ8

Ep 300V Eg-32V程度でIp 30maですが、Ep 400V使用は想定していないようです。考えてみますと、D404=RE604ですら、自己バイアス使用ですから、D404より一回り小さいDW802をRE604同等と考えるのは無理があります。まして、たとえ初期PX4とはいえ、相当管とするには、さらに無理があります。真空管はヨーロッパではPHILIPSが基本ですから、どんなメーカーもPHILIPSのあの多種類に何らか対応させるものを開発していたわけです。その中で、それぞれのメーカーが独自に開発したものがまた、つくられたことも事実です。

PHILIPSの交流フィラメント用直熱三極出力管のシリーズは次のようにつくられました。
C405 C603(171)、D404 D410、E403 E406/E406N E408/E408N E704 E707、F203(245) F410 F704(250) F710(210) ()はアメリカ名
C603=171フィラメント違い、E403=245フィラメント違いとされています。

まずは、DW802は同等管のないMAZDA独自の球と考えるのが妥当ということです。では、D404同等管はFr.MAZDAにはないのでしょうか。601が本当にそれに該当するのでしょうか。これは次回にまわし、検討すべき球をDW302とします。

DW302 標準規格 Ef 4V,If 1.05A Ep 250V Eg -50V Ip 30ma, Rp 1800Ω gm 1.95ma/v μ3.5 箱添付規格表より

DW302 標準規格 Ef 4V,If 1.05A Ep 250V Eg -50V Ip 33ma, Rp 1800Ω gm 1.9ma/v μ3.5 魅惑の真空管アンプ正巻規格より Ipが1割も異なる

一方同等管とされるC405は

C405 標準規格 Ef 4V,If 0.3A Ep 250V Eg -32V Ip 20ma, Rp 2600Ω gm 2.0ma/v μ5

何故これが同等管となるのでしょうか。とても不思議ではあります。DW302の同等管はC405ではなく、PHILIPSの別の真空管E403であることが規格をみるとわかります。残念乍ら、E403の現物を一度も見たことがありませんし、見た人の情報を未だ持つこともありません。

E403 標準規格 Ef 4V,If 1.05A フィラメントの他は245(45)と同じ 魅惑の真空管アンプ正巻規格より

245は次の通りですから、

UX245 標準規格 Ef 2.5V,If 1.5A Ep 250V Eg -50V Ip 34ma, Rp 1750Ω gm 2ma/v μ3.5

E403 標準規格 Ef 4V,If 1.05A Ep 250V Eg -50V Ip 34ma, Rp 1750Ω gm 2ma/v μ3.5

これは、当にDW302と同じです。この辺りの混乱は、ブランドが異なることにも由来していたと考えられます。 魅惑の真空管アンプではETA社、こちらではMAZDA社です。実はETAもMAZDAも同じ会社でした。多国籍企業PHILIPSがいくつものブランドを所有していることは知られています。オランダーPHILIPS ドイツPHILIPS-VALVO フランスPHILIPS-DARIO/RADIO TECHNIQUE イギリスPHILIPS-MULLARD などとあるように。MAZDAもフランスではMETAL/MAZDA イタリアではETA ベルギーではBELVU/AZDAMでした。

先にも申しましたが、DW302の3はμを表していて、DW802は同じく8、DW702は7、DW601は6となります。としますと、フランスMAZDAにPHILIPS D404同等管があれば、型番はDW40Xとなるはずです。1948年のドイツの資料によりますと、DW402...Mazda..4C1F201-3(E438)という球があるそうです。ご承知のようにE438 PHILIPS= RE1004 TELEFUNKENですから、DW402は本来DW4011やDW4023が該当する真空管となります。つまり、これもドイツの資料の誤りであると考えるべきでしょう。さて、もうひとつのことをここで考慮に入れてみます。

AT20 標準規格 Ef 4V,If 0.6A Ep 250V Eg -45V Ip 40ma, Rp 1500Ω gm 2.5ma/v μ4 魅惑の真空管アンプ正続巻規格より

この真空管もみたことは誰もありません。AT20はCOSSORとかMAZDAとかいわれているものですし、われわれが知るものはA.T.20という送信管でイギリス各社が生産していたものです。RE604やD404相当のAT20は一体実在したのか、またAT20と名称していたのか。BF25 FOTOSのように、存在しない名称にも、存在した真空管F410とTMBF25がありました。AT20はフランスの球と魅惑の真空管アンプ正巻にはあります。さて、フランスにAT20が存在していたのでしょうか。

真空管の画像は機会を見てそのうちにUPします。

mephisto.tres からのご返事;2015.03.05

情報ありがとうございました。
このメールは自宅で開いたので、AT20について調べたメモが無く、うまくお伝えできませんが、
確か英国ではPhilips D404相当のM-OV PX4が1929年に発表され、それをを皮切りに英国各社から
D404相当の4V管の発表が相次ぎ、Ediswan MazdaはBTHから引き継いだ6V管P650(PX650)で市場の
様子見をしていて、1930年でしたっけM-OVがPX4の規格を引き上げ取り残されそうになったため
PP3/250を出したと記憶しています。

一方送信管のAT20は後年CV番号に移行前の旧名称ですが、AT20を使用した通信機(送信機)は確か
1937年頃に登場していますので、送信管AT20の登場年代はD404相当の4V管の登場よりもかなり後と
推定できませんか?

とすると1930年位にCossorがD404相当のAT20を出していた可能性も残ります。但し、M-OVがPX4の規格
を引き上げた際には4XP(D404相当のAT20の規格を引き上げ改称しかかも?)で対抗した事を考えると、
D404相当のAT20は非常に短命であったとも思われますが。。。

と言う訳で、まだCossorによるD404相当AT20の存在は否定できかねると思いますが、如何でしょう?

また、楽鳴舎Webのコメント欄にてお伝えしたWebを見るに、その管理者が浅野本を参照したとも考え難く
これもまた、存在の傍証のようにも思えます。

さらに、これもネット情報ですが、欧州の旧ラジオ系のフォーラムでAT20とD404の互換性についての話が
過去出ていて、その際の結論はプレート損失10Wと20Wでは、互換性も何もないというものでしたが、「火のない
所に噂は。。。」の様に、過去本当に互換性のあったAT20が存在し、その先人の情報を現状のデータから検証すると
互換性なしの結論になったとも勘ぐれます。

シングルエンドのMullard EL36様に、噂や、それらしき記述はあるが、現物は無い(見かけない)球なのでしょうかねぇ。。。

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コメント

データ、記述の信頼性は??で、仏ではないのですが、英Cossorには4VのAT20があったという記述が複数件、ネット情報にあります。以下はその一つです。
http://www.hupse.eu/radio/tubes/AT20.htm

投稿: mephisto.tres | 2015年3月 4日 (水) 15時06分

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