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2013年2月

2013年2月15日 (金)

EMT 139 モノラール用EQアンプ 2

139Aのメンテナンスがてこずっている間に、139Bのメンテナンスが終了してしまいました。

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1EMT の入力トランスは当初 T210が搭載されていました。T210はTSD-15に使用するためのものですから昇圧比40倍あります。本来の139Bには T94/2が使用され、OFD25などのもう少し出力電圧が大きいものを対象としています。よって、昇圧比は20倍となるのです。

20110301_030_2

画像 左はT210 右がT94/2です。重さも異なります。コアが違ったり、巻線数が当然違いますが、そんなことで大きさが異なるのでしょう。

本アンプの問題は、この昇圧比が異なるトランスを搭載したために、初段許容入力を大きくするために初段周りを変更したことがあります。そのため、時定数が変化したのですが、EQ定数は元のままにしてありました。NF-EQの本機は初段をその内部に組み込んでいますので、EQ特性が変わってしまったわけです。当然オリジナルの形にするのですから、EQ特性は元に戻りました。

オリジナルに戻すということは、EQ特性が設計どおりということだけではありません、139の機能・特徴を全て生かすということになります。

1.NEEDLE SCRATCH FILTERが使用できるということです。これがないと、139Aと139BのEQ特性が同じであるようでいて、異なっているという状態を変化させることが出来なくなります。139AにはRIAA対応ポジションがありません。139BにはRIAA対応ポジションはNABと同じポジションに設定されています。

2.ヘッドホン・アンプ内臓 ECC82の片ユニットを使用してヘッドホン出力があります。何に使用するって? 考えてください。

3.初段EF804Sはヒーター直流点火です。他の3球はAC点火です。ノイズ低減に調整箇所としてヒーター・バランスをつくっているのですから、それを使用しないという手はありません。全段直流にしてしまえばというひとは、電源を無視しているのですから、採用しません。自作の電源を使用する方は、それはそれでよいのです。

実働操作(イン・ライン)数十分で、実用音質になりました。EMTらしい、実に鮮烈な音質です。

お客様に引渡しをして、終了となりました。本稿はこれで終了ではなくまだ続きます。139Aのメンテの続き、そして、交換部品と劣化部品ののお話です。

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2013年2月 5日 (火)

EMT 139 モノラール用EQアンプ

EMT 139Aを2台その途中他の方から139B 1台のメンテナンスを依頼されました。EMT 139 モノラール用EQアンプは概略3種類あるようです。139、139A、139Bです。

メンテナンスについては、基本的に記事にして公表しない方針なのですが、今回はそのあまりの状態に記録として残すことにしました。勿論全てを公開することはありませんが、EMT 139をお使いの方、購入をお考えの方に参考になることと思います。まずは、EMT139Aです。

139a1_2

修理依頼時症状

1.ノイズが出るようになった

2.何となく音が変になった

3.購入時から暫くしてグライコを併用している

EMT 139Aはモノラール時代の設計かつモノ用途ですので、状態の近い2台を集めることは至難です。シリアル番号は画像では消去してありますが、一桁異なる2台です。購入者は同時に2台を同じオーディオ店で入手したそうです。また、電源は、プレーヤーからではなく、別電源として同店製作品を購入したとのことでした。

まずは観察です。2台あると、見比べることができますので、よりその相違点において状況を把握し易くなります。この抵抗がこちらは黒くなっているな、とかこの配線が2台で違っているのは何故か、取替え部品が異なっているのは何故かとか、まあ外から観て分かることを一つずつ掃除をしながら診て行くわけです。

当舎はEMTプレーヤーを使用していません。また、これらのアンプも使用しておりません。先にEMT 139stのメンテを依頼されたのが、はじめてで、それまで扱ったことはありませんでした。ということは、回路図も無かったわけで、同業者、知人・友人を頼りに139Aおよび139Bの回路図を購入しました。情報は無料(ただ)ではありません。そして、分かったことは、それらの回路図が正確ではなく、コピーのコピーということで、少しずつ改竄されていたということでした。お蔭様で、139Aと139Bが表示シールがなくとも判別できるようになりました。

また、メンテ作業中に皆様のご好意により、ネットに同様な苦労をした方がいることを知りあわせて記載しておきます。  http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-335.html

さて、回路図を入手し見比べて本139A改造がどのようなものかが見えてきました。

1.これも入力トランスがない!

139a2

上画像正面右または右画像右上にシールド・ケースに入った真空管を入れてこのアンプは5本使用しています。

この5本目はEF804Sです。さて、三極管仕様でしょうか五結でしょうか。オリジナルのトランスは20倍のようですから、EF804では増幅度がどちらにせよ合いません。どのように処理したのでしょうか。

2.EQ部分 部品の数値が違ってるぞ!

139aeq4

片方のEQ部品です。

もう片方と見比べてみました。

139aeq5

さらに良く観ると、部品接続が違う。同じ基盤ならば特性が異なってしまわないのか。これらは、双方共に、139Aなのであろうか。

今回はここまで。裏側に行く前に、まだいくつも部品や接続が2台で異なっていました。これらが、裏側に行くとどうなるのでしょう。

2013.06.30 追加

すっかり時間が経過してしまいました。完全に復元された139A2台も現在オーナーのもとで美しい響きを創り出しているそうです。ステレオTSD15の使用時では、当然ですがそのままではゲインが少し足りません。オーナーはうまくいろいろと調整をして使用していました。

本139A改がどのような経緯で、どのような人がつくりあげたのか、そして、当方のメンテナンスに辿り着いたのかが大体読めてきました。

これらは、全てデンマークの放送局の放出品であったとのことです。EMTより各放送局にはオリジナルの形で納品されたのですが、カートリッジがOFD25などの高出力型やその他のモノ・ピックアップ、そしてTSD12やTSD15などの低出力型が出されるにつれて、専用のトランスでは対応できず、本機のような改造を局側で行ったようです。これも各局でというよりも、専門チームが行ったと考えるべきでしょう。その後、直接、間接に日本に入り、日本側にてメンテナンスが施されたものもあることがわかりました。

復元したものが、これほどよいものとは思いもしませんでした。当舎もその後、2台ほど入手し、復元していきたいと思っています。1台は139A、もう1台は139B、これらは同じ仕様の真空管5本タイプです。それと、そのうち取りに行くことにしている139Bです。こちらはオリジナルなのは当然ですが、ドイツ南部の放送局の放出品でした。

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