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2012年9月26日 (水)

素人の知ったかぶり、玄人の無知 その2

第2回 EL36

真空管コレクターとして、とても楽しかった頃ですが、最も驚いた真空管がこのEL36でした。EL36は業務用によく使用されたものですし、松下で6CM5として製造していましたから皆さんよくご存知のパワー管です。わたしはご存知でありませんでした。本稿は玄人の無知ですが、私のことではありません。その頃は楽しいコレクターで、何も知らず、何を知らねばならぬかも知らなかったのです。

EL36を知ったのは、ドイツZEISS IKON DOMINAR-Lアンプを入手しその出力管EL12/375の予備を探していたときです。20年以上も前のことでした。

EL12族 EL12 EL12/325 EL12/350 EL12/375 EL12spez EL6 EL6/400 EL6spez EL36 EL54 EL150 4699 4699N 

このEL12族のひとつとして、EL36がありました。これが、実は全くのでたらめなどと、知る由のない少年の心を持つ私は、日夜EL36を探して、世界を旅していました。これは本当のことです(え!どっちだって?少年の心にきまっているでしょう!!)。
ここで、一気に本題に入る前に、予備知識を準備します。

欧州大陸の傍熱五極管もPHILIPSから始まるようですが、端折ってヒーター4VのAシリーズ、6.3VのEシリーズがありました。ヒーター電圧だけが異なる、同特性管が多々あったのです。

取分け Eシリーズは各メーカーがこぞって生産したものですから、様々なナンバーができました。以下4種は同等管とされたものです。ソケットと電極引き出し方に違いはあります。

SC:サイド・コンタクト8P US8P:USタイプ8ピン G8P:ドイツ型8P(F2aIIなど)
TG:トップ・グリッドはそのまま、SE:シングル・エンドは電極引き出しをベースより行ったものという意味です。ですから、EL32にしか当てはまりません。これは、私の造語ではありませんよ。他の球はダルマ型にしろ、直管型にしろ通常のベースからの引き出しになります。

EL2 TG、SC EL32 SE、US8P

EL3 SC    EL33 US8P    EL11 G8P EL53 SC

EL5 SC    EL35 US8P            EL50 SC→4689 SC

EL6 SC    EL36 US8P    EL12 G8P EL54 SC→4699 SC

面白いことにEL4はなかったようです。あれば、EL34となるのでしょうが。EL60がその原型にして同等管となります。ぱっとみて、何らかの法則性が見て取れますでしょう。これにEL150シリーズが重なるともっと面白いのですが、それはいつか機会を見て。このように見ると、本当にEL6とEL36は同等管だと思えます。これらは、全て Electronic universal Vade-Mecum からの引用です。この本は、収集資料点数が多かったためか、データー処理に誤りが多いのが欠点ですが、これほどのものはほかにはありません。未だ、1級の資料です。当然上記も一部誤りがありますが、元本そのまま転記しています。

以上でお分かりの通り、Electronic universal Vade-Mecum を見た元少年はひたすらEL12系を収集することになるのです。

「el6_2.pdf」をダウンロード

「el36_1.pdf」をダウンロード これがEL36の本来の規格表です。

http://www.audioantik.de/Daten/EL12.pdf ここに明瞭にEL36がクレジットされ、更に外見はST管のオクタル・ベースであることも寸法図にあります。これは、EL36が上記の球であることが完全否定されているデーターでした。

結局、わかったことは、EL36のみEL一桁管のオクタル・ベース管ではないということでした。何故そうなったのかは、わかりません。検証を一度もしないで、文章をそのまま残していく、官僚組織を常に行うことが、どれ程の弊害を生むのか、改めて認識した、わたしにとっての大事件でした。玄人の無知と素人の知ったかぶりに人はどれほど振り回されるか。自戒の念を籠めて、振り返ってみました。

ところで、EL36はその後、シングル・エンドにしたものが、SIEMENS のE235Lであり、EL36と同じ形態がE236Lのようです。これも、詳細は機会を見て行いたいと思います。

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